中古一戸建て住宅診断(ホームインスペクション)の現場レポート

建築士による中古住宅の住宅診断(ホームインスペクション)の現場レポートです。

中古一戸建て住宅診断(ホームインスペクション)の現場レポート :奈良県奈良市 Part2-3

アネストのスタッフの徳永です。中古一戸建て住宅診断(ホームインスペクション)(現場:奈良県奈良市)の現場レポートの続編です。

1階では調査開始前に丹波さんが少しお話していた『床下のチェックが出来るかどうか(点検が出来る箇所があるかどうか)』というところなのですが・・・。 ダイニングの隣にある和室の畳を上げて見ますが、その下地の板は打ち付けられてあり、外すことが出来ませんでした。

「この下地の板が打ち付けられていない場合は外れることもあるんで、床下がここから見えることもあるんですが、今回は難しいですね・・・」

また、畳を上げたり歩行などをして廊下なども含めて確認した結果、1階部分の床の下地全体が弱っている可能性があることが判明しました。 恐らく老朽化による傷みだろうとのことです。 下地を取り替えてもらった方が良いと丹波さんからアドバイスを致しますと、お客様はお子様のアレルギーもあるので今回購入する際には和室を全て洋室に変更するとのことでした。

「それであれば床下の確認も含めて、リフォームなどをされる際に下地を取り替えて頂くと良いですよ。その時に一緒に防蟻処理もすると、なお良いですね」

次はキッチンです。 水道が使用出来ましたので、実際に水を流してみて水漏れや流れなどをチェックしたところ、シンク下の排水管の繋ぎ目からジワっと水漏れがありました。

「水漏れがありますね。恐らくこの繋ぎ目部分を締め直してもらえれば対応出来ると思いますが、キッチンはこのままお使いですか?」

「そうですね。キッチンは取り替えようかなと思ってたんで、取り替えることにします」

「そうですか。では大丈夫だとは思いますが、キッチンを取り替えられた際には水漏れのチェックをしてみて下さい。水を流してこの繋ぎ目の部分にしばらく触れてみて、ジワっと漏れた感じが無ければ大丈夫です」

「わかりました」

購入判断の為のアドバイスもそうですが、入居を想定してのアドバイスもありがたいです。

その他は建具やカーテンレールなどの確認をした後、トイレや洗面、浴室などの水回り関係のチェックとなりました。 トイレや洗面、浴室部分では水漏れや排水などの確認も行いますが、今回の物件ではトイレや浴室の壁や床に、磁器質タイルが使用されていました。

「建物が揺れた時に、一番表面にダメージが現れやすいのがタイル部分なんです。この物件ではタイルの割れも目立ったものは無いですね」

タイルの割れがあるかどうかは、調査の1つのポイントにもなるわけですね。 水漏れなども特に問題無く、廊下の床鳴りをチェックした後に玄関から外回りの調査に入りました。 ハンマーを玄関タイルに擦らせて、タイルの浮きや割れが無いかを音でチェックします。

「年数が経っている割には、綺麗ですね」

その他に建物の外観をチェックしていきますと、庭側の外壁に2階から1階にかけて縦にクラックが入っていました。

「これは、一度中をめくって見たほうが良いですね。外壁の仕上げのジョイント部分がゆるんでいるせいなのかそれとも下地の問題なのかは、中を見てみないとわかりませんが、状況を確認されてその原因に沿って補修して頂いた方が良いですね」

丹波さんのお話によると、敷地全体がその庭側(南側)へ幾分傾斜していて、その方向へ建物の荷重が向いている可能性があるとのことでした。 壁をはがして内部を確認することで、より良い対処方法が見出せるはずです、とお客様にお伝えしていました。 その外壁のクラックは鉄筋造や木造なら大きな問題となりますが、今回の物件はS造(重量鉄骨造)であることから上記の様な判断となりました。

また、擁壁については目視で現状を確認しましたが、特に大きな傷みや問題などは無いとのこと。 その後は土地の境界がきちんと明示されているかの確認をしましたが、杭やプレートなどの境界を明示するものが何も無かったので、契約の際にはきちんと明示して境界を確定して頂くことを丹波さんからアドバイスしていました。

「意外と、土地の境界についての明示が無いケースが多いんですよね」

と丹波さん。横で私もうなずいておりましたらお客様が、

「境界って大事なんですか?」

とのご質問。

「大事ですよ。建物と共に土地も売買するのですから、境界ははっきりとしておかなくてはいけませんね。後のトラブルにも成り得ることもありますし」

丹波さんの言葉に、お客様が大きく頷いてらっしゃいました。 他には汚水・雨水マスを開けて中を確認したり、止水栓のところにあるメーターを確認します。

「いま水道を使用していない状態で水道メーターが回っていない状態ですが、これが正解です。もし漏水などがあれば水道を使用していなくてもメーターが回っていることがあるので、漏水チェックの一つの方法になりますね」

この方法は、シンプルながら非常に納得しました。 その後お客様と丹波さんとで玄関ポーチにて集合し、本日のまとめに入りました。

「今回、目視範囲で建物や外回りなどをチェックさせて頂きましたが、外壁のクラックに関しては基本的には構造的なものではなく、表面的なものと判断致します。但し、建物の南側に入っている2階から1階にかけての縦のクラックについては原因などを調べることも含めまして、一度壁をはがして対処されることをお勧め致します。ベランダなどにある外壁のクラックについては、コーキングなどの対処が必要です」

他には、ベランダの手すりの固定をすることや、1階部分の床下地の取替えをすることと同時に床下の確認をし、併せて防蟻処理をするとさらに良いこと、雨漏り跡については屋根を葺き替えた後には恐らく漏っていないと思われること、2階和室の敷居の下地の消耗を補修することと、全室の建具の調整をする必要があることをお伝えしました。

「購入されるかどうかはお客様の最終的な判断となりますので、先ほどお伝えした調査内容を踏まえてしっかりとご検討くださいね」

丹波さんの言葉にお客様が大きく頷かれて、本日の調査は終了となりました。 今回は、平均的な3時間程度の調査時間でした。

中古住宅の調査に同行させて頂くのは今回が初めてだったのですが、建物はメンテナンスや手入れによって長持ちするのだということが良くわかりました。 空家でずっと放っておかれた物件などもあるそうで、そういう場合は建物もやはり早くに廃れて来てしまい、リフォーム箇所が増えたり最悪建て替え等が必要になってきたりします。

また、中古住宅の調査の場合はどの程度の劣化状態であるか、その劣化状態が築年数に応じたものであるかなどの判断を行うわけですが、この辺りはやはり経験を積んだ建築士でないと判断が難しいのでは無いかと思いました。 経過年数に応じた建物かどうかは、購入のための大事な判断材料だと思います。

今回もとても勉強になりました。

同行させて頂きましたお客様、丹波さん、本当に有難うございました。

大変お疲れ様でした!

※余談ですが、お客様に「徳永さんはブログの更新が少ないねぇ(笑)」と笑われてしまいました・・・。も、申し訳ありません・・・。


奈良県奈良市の中古一戸建て住宅診断(ホームインスペクション)はこちら